データを扱う人にとっては必須のフィルター機能ですが、知っていると操作を効率的にできるショートカットが多く存在します。1つ1つはごく小さな操作ではありますが、大量のデータを取り扱う場合には何度もフィルターをかけ直すといったケースは多いので、知っておくとストレスがかなり軽減されます。マウスだけで行うかキーボードショートカットも使うかで、作業時間が約半分まで変わることもあります。

普段、以下のようなことでストレスを感じている方はぜひお読みください。

  • フィルター条件を設定するためにマウスを何度もクリックするのが面倒くさい
  • 一度設定したフィルターを解除する操作が大変
  • キーボードで操作を完結したいのに操作がわからず、やむを得ずマウスに手を伸ばしている

以下の動画はマウスとキーボード操作でフィルター条件を4つ設定した場合の時間を比較したものです。一例ではありますが、マウス操作と比較して、キーボードショートカットを駆使した操作では所要時間で50%超削減できています。マウス操作で大きなロスなしでもこれぐらい差がでます。

以下、ショートカットやアクセスキーの操作は記事作成時点でのWindows + 日本語版 Excel(Microsoft 365/2016 以降)を想定しています。

フィルターを設定、リセットするショートカット

フィルター設定とフィルター解除のショートカットを覚えておくと、フィルター操作にスムーズに移行できます。

Ctrl + Shift + L を2回押すと、フィルターを解除→再設定できるため、結果的にリセットに近い動きになります。ただし、このときフィルターの範囲が再判定されるため、想定外の範囲にフィルターがかかってしまうことがあります。そのため、「範囲はいじらずに条件だけリセットしたい」場合は、Altキーのショートカット(Alt→A→C)を使う方が安全です。

操作 動作
Ctrl + Shift + L 選択範囲にフィルタを設定、または解除
Alt → A → C フィルターのリセット
C 選択列のみフィルターのリセット(Alt + ↓でメニューを開いた後に実行)

フィルターメニューを開くショートカット

一番使うショートカットといえます。基本動作としてぜひ覚えておきましょう。同時押しではなくAltを押しながら↓を押下します。

操作 動作
Alt + ↓ フィルターメニューを開く(▼クリックと同じ動作)

フィルターメニュー内の基本操作

この操作を覚えておくとフィルター操作のストレスが劇的に減ります。特に、チェックボックスでフィルターをかけるつもりなら、Alt ↓の後にすぐEを基本動作として覚えておきましょう。

なお、セル移動などの癖でCtrlを押してしまいがちですが、下表のHome~PageDownのショートカットは、Ctrlキーを同時に押さないようにしましょう。見た目上は動作しますが、チェックボックスのフォーカスが動かないため、その後でいざスペースキーで設定しようとしてもうまくいきません。

チェックボックスのON/OFFは半角英数入力モードならスペースのみで機能しますが、Ctrlを押しながらスペースキーを入力すると全角ひらがな入力モードでも動作します。今の入力モードを確かめるのは面倒なのでとりあえず「Ctrlと一緒にスペース」と覚えてしまいましょう。

操作 動作
E フィルターの検索ボックスをフォーカス
↑ or ↓ 項目を移動
数値フィルターなどの項目を開く
数値フィルターなどの項目を閉じる
Ctrl + スペースキー チェックを入れる、または外す
Home チェックボックスの1番上に移動
End チェックボックスの1番下まで移動
PageUp チェックボックスを1ページ上へ
PageDown チェックボックスを1ページ下へ

並び替え・各種フィルターへ入るショートカット

Alt +↓でフィルターメニューを開いた後のショートカットです。Fでメニューを開いた後は矢印キーで操作するか、さらに後述するショートカットで諸条件の設定も可能です。

セルに色を付けて意味を持たせるのは表の作り方としてそもそも推奨できませんが、現実としてそういう表を操作しなければいけない場面では役立つショートカットです。

操作 動作
F 数値またはテキストフィルター
I 色フィルター
S 昇順で並び替え
O 降順で並び替え

数値フィルターのショートカット

フィルター条件の設定にもショートカットがあります。フィルター操作しようとしている列が数値なのかテキストなのかで設定できるフィルターが変わります。

上述の通り、いずれのフィルターもAlt+↓でメニューを開いたあとにFキーで呼び出せます。そのあとで下記操作により実行できます。

指定の値に等しい、指定の値以上・以下は頻繁に使用します。

操作 動作
E 指定の値に等しい
O 指定の値以上
Q 指定の値以下
N 指定の値に等しくない
G 指定の値より大きい
L 指定の値より小さい
W 指定の範囲内
T トップテン
F ユーザー設定フィルター

テキストフィルターのショートカット

数値フィルター同様Alt+↓でメニューを開いたあとにFキーでテキストフィルターを展開した後に下記操作を実行してください。

「指定の値に等しい」「指定の値を含む」は便利なので覚えておくと役立ちます。

操作 動作
E 指定の値に等しい
A 指定の値を含む
N 指定の値に等しくない
I 指定の値で始まる
T 指定の値で終わる
D 指定の値を含まない
F ユーザー設定フィルター

良く使う組み合わせとFAQ

Excelでフィルターを一瞬で解除するショートカットは

Ctrl + Shift + L を押すと、オートフィルターの設定/解除を切り替えられます。
すでにフィルターが設定されている状態で Ctrl + Shift + L → もう一度 Ctrl + Shift + L と押すと、一度フィルターを解除してから再設定されるため、実質的に「フィルターをリセットした」ような状態になります。
フィルター自体は残したまま「条件だけリセット」したい場合は、Alt → A → C を使うのがおすすめです。

フィルターメニュー(▼)をキーボードだけで開くには?

フィルターをかけたい列のセルを選択してから、Alt + ↓ を押します。これで、マウスで▼をクリックしたときと同じ「フィルターメニュー」を開くことができます。この後は、上下矢印キーで項目を移動し、F で数値フィルター/テキストフィルター、S / O で昇順/降順の並び替えなどを実行できます。

チェックボックスにマウスを使わずにチェックを入れたり外したりできる?

フィルターメニューを Alt + ↓ で開いたあと、↑↓キーでチェックを付けたい項目にフォーカスを移動し、次のように操作します。

  • 半角英数入力モード:スペースキー でオン/オフ
  • 全角ひらがな入力モード:Ctrl + スペースキー でオン/オフ

いまどの入力モードかを毎回意識するのは面倒なので、「迷ったら Ctrl + スペース」と覚えておくと安定します。

数値フィルターで「指定の値以上」に絞り込みたいときの効率的な操作は?

  1. 対象列のセルを選択
  2. Alt + ↓ でフィルターメニューを開く
  3. F で「数値フィルター」を開く
  4. O で「指定の値以上」を選択
  5. 表示されたダイアログに条件となる数値を入力し、Enter で確定

テキストフィルターで「指定の文字列を含む」行だけを表示するには?

テキストでフィルターしたい列のセルを選択

Alt + ↓ でフィルターメニューを開く

F で「テキストフィルター」を開く

A で「指定の値を含む」を選択

ダイアログの入力欄に含めたい文字列を入力し、Enter

これで、指定した文字列を含む行だけが表示されます。たとえば「完了」「済」など、ステータス列の絞り込みに便利です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
まずは「Ctrl+Shift+L」「Alt→A→C」「Alt+↓」の3つだけでも試してみると、フィルター操作のストレスはかなり軽くなります。ぜひ試してみてください。