この記事では月次決算を早期に確定させるための具体的なスケジュールについて概要をお伝えします。

この記事の要約

  • スケジュールの目安: 月次決算は、データ収集から経営報告までを翌月の5〜10営業日以内に完了させることが一般的です。
  • 早期化の鍵: 経理部門だけの努力では限界があり、全社的なスケジュールの確定と遵守が不可欠です。
  • 将来的なメリット: 早期化の体制を構築することは、日々の経営改善だけでなく、将来の上場(IPO)準備においても極めて重要です。

月次決算の目的を達成するには、何をいつまでにやるかのスケジュールを明確にしておくことが非常に重要です。経理以外に対応して貰わないと始められない作業があることや、月次決算以外にも必要な作業があると、月次が後回しになってしまうためです。

一般的なスケジュールの目安

一般的なスケジュールの目安は以下の通りです。

月末から翌月初:月次決算の前準備

  • 期限の周知(勤怠データ入力、経費申請、各部署で請求書回収している場合の提出期限など)

翌月 1〜2営業日:現場でのデータ収集・入力

  • 売上・仕入の確定:請求書の発行、受領した請求書の処理。
  • 経費精算の締め:各部署からの経費精算書を収集・承認。
  • 在庫の棚卸:実地棚卸を行い、在庫数量を確定(業種による)。
  • 勤怠データの確定:給与計算の基礎となる勤怠データを締め切る。

翌月 3〜5営業日:経理部門での集計・チェック

  • 各種データの入力:収集した請求書、経費、勤怠データなどを会計システムへ入力。
  • 月次処理の実施
    • 減価償却費の計上
    • 各種引当金(賞与引当金、退職給付引当金、返品調整引当金など)の計上
    • 前払費用・未払費用・前受収益・未収収益の計上
    • 給与計算の実施・計上
    • 預金データと会計データの照合、など
  • 試算表(T/B)の作成:全てのデータを入力し、仮の試算表を作成。

翌月 5〜7営業日:分析・修正

  • 勘定科目残高の分析:試算表の各科目の残高が異常でないか、前月や予算と比較して確認。
  • 異常値の修正:大きな変動があった項目について、原因を特定し、必要に応じて修正仕訳を入力。
  • 月次決算の確定(仮締め):試算表を確定させます。

翌月 8〜10営業日:報告資料の作成・報告

  • 月次決算報告書の作成:経営層向けに、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)の概要や、前月比・予算比の分析資料を作成。
  • 経営会議での報告:作成した資料をもとに、経営陣へ当月の業績を報告。

スケジュールを明確にするメリット

月次決算のスケジュールを明確にして、安定かつ高速な体制を構築できると、経営上の課題の原因分析やアクションプランを立てるのに非常に役立ちます。また、将来上場を目指す場合には、規模が大きくなるほどに安定させるのには労力を要します。早めに体制を構築することが重要です。

会計事務所に記帳代行を依頼する場合は、どうしても月次が遅くなってしまいます。記帳代行しつつ月次決算を早期化したい場合には、データの受け渡し方法や期限を工夫するほか、契約の内容を見直すことも検討すべきです。

月次決算における各プロセスは別途記事にして詳細に解説する予定です。

関連記事
月次決算が必要な理由