会社を設立するにあたっては手続きや考えるべきことが多くあります。そのうちの主要なものを整理してお伝えします。
1. 株式会社か合同会社かを選択する
法人形態として一般的なのが株式会社と合同会社です。それぞれの特徴と設立費用の目安は以下の通りです:
株式会社
- 特徴:株式を発行できるため、資金調達の幅が広い。一般的に社会的信用が高い。
- 設立費用:約20万円~25万円(定款認証費用約50,000円、登録免許税150,000円など)。
合同会社
- 特徴:株主総会や取締役会が存在しないため、意思決定が迅速。設立費用が安く済む。
- 設立費用:約6万円~10万円(定款認証不要、登録免許税60,000円他)。
どちらを選ぶかは、事業規模や今後の展開、資金調達の方針によって決めましょう。後から組織変更を行うことも可能ですが、上場を目指すなら最初から株式会社にしておくことが無難です。
2. 定款の記載事項を決定して作成
法人設立の基本となる「定款」を作成します。定款には以下の内容を記載する必要があります。
- 絶対的記載事項(必須事項)
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立時の出資額と出資者
- 機関設計(取締役や監査役など)
- 任意的記載事項(必要に応じて記載)
- 株式譲渡制限に関する規定
- 取締役の任期など
株式会社の場合、定款を公証役場で認証する必要があります(合同会社では不要です)。
3. 登記事項を決定する
法人を設立するには登記事項を決めておく必要があります。以下が主要な項目です:
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金の額
- 役員構成(代表取締役など)
- 決算期(事業年度の締め日)
これらの内容は定款にも記載されるため、定款作成と同時に進めることが推奨されます。事業目的はとりあえず広く記載しておくべきとする主張もありますが、まとまりなく書きすぎると不審な会社に見られてしまい、取引や融資の審査時に不利になる可能性もあるためご留意ください。
また、決算期は3月や12月決算にする会社が多いですが、税理士の繁忙期が同時期であるため、特段の理由がなければ別の月にすることも検討しましょう。
4. 法人の印鑑を準備
法人設立後に使用する印鑑を用意します。通常、以下の印鑑をセットで準備します。
- 実印:代表者の肩書が彫られている、会社の正式な印鑑
- 銀行印:金融機関との取引で使用
- 角印:社内文書や請求書などで使用
実印は印鑑登録が必要なため、登記完了後に法務局で手続きを行います。
5. 定款認証を行う
株式会社を設立する場合、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。定款認証費用は資本金の金額に応じて3万円~5万円程度です。なお、合同会社は定款認証は不要です。
6. 資本金を払い込む
この時点ではまだ法人は設立されておらず法人口座はないため、発起人の口座に払い込みます。資本金の額に制限はなく、1円からでも法人設立は可能ですが、将来的な信用力を考慮して適切な額を設定しましょう。
7. 法務局で登記申請を行う
最後に、必要な書類を揃えて法務局で法人設立の登記申請を行います。必要書類の例は以下の通りです:
- 登記申請書
- 定款
- 払込証明書
- 役員の就任承諾書
- 印鑑届出書
- 登録免許税(株式会社は15万円、合同会社は6万円)
登記申請直後に会社設立が完了するわけではなく、一定期間要するため注意が必要です。一般的には1~2週間程度で完了することが多いようです。
おわりに
会社の設立には手続や決めるべきことが多いため、やるべきことを整理してからまとめて手続すると効率的です。後で変えるのに手間やコストがかかる項目も含まれているため、税理士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることをお勧めします。設立や申告のご支援が必要な場合は以下からお問い合わせください。