ある日、六人の盲人が象を触ってその正体を突き止めようとした。

一人目の盲人は、象の鼻に触り、「象とはヘビのようなものだ。」と言った。
二人目の盲人は、象の耳に触り、「象とはうちわのようなものだ。」と言った。
三人目の盲人は、象の足に触り、「象とは木の幹のようなものだ。」と言った。
四人目の盲人は、象の胴体に触り、「象とは壁のようなものだ。」と言った。
五人目の盲人は、象のしっぽに触り、「象とはロープのようなものだ。」と言った。
六人目の盲人は、象の牙に触り、「象とは槍のようなものだ。」と言った。

それから、六人の盲人たちは長いこと大声で言い争い、それぞれが自分の意見を譲らなかった。

引用元:座右の寓話 戸田智弘 出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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断片的な事実のみから全体を判断してしまうことを戒める教訓の寓話です。各自が、自分が経験したことのみから導き出される主張を押し付け合い、相手がどのような経験をしたかには目もくれません。

ある人が、他の人の経験談を丁寧に傾聴すれば、全体のうちの異なる部分を経験していただけ、という真実に気づけたかもしれません。

人である以上、全体の全てを完璧に把握することは困難かもしれませんが、自分が見ているものは限られた立場からの視点・視座・視野に基づくものだという意識を持つことで、多少なりとも誤解や無用な言い争いを避けることができるかもしれません。