過酷な環境で育った双子がいた。双子の父親は麻薬の常習者で、酒に酔っては母親と子どもに暴力を振るった。双子が三〇代になったとき、心理学者が二人にインタビューをした。
双子のうちの一人は薬物中毒になり、生活保護を受けていた。彼の暴力が原因で、妻と子どもは家を逃げだしていた。心理学者は彼に質問をした。
「あなたはなぜ、こんなことを自分と自分の家族にしているんですか?」
「あんな家庭に育った私に、これ以外の何ができるというんだ!」双子のうちのもう一人は、ビジネスで成功して幸せな結婚をし、すばらしい親になっていた。心理学者は彼に質問をした。
「あなたはなぜ、これほどのことが成し遂げられたのですか?」
「あんな家庭に育った私に、これ以外の何ができるというんだ!」引用元:座右の寓話 戸田智弘 出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン www.amazon.co.jp/dp/47993282
全く同じ過酷な環境で育った二人ですが、その後は真逆の人生を歩んでいる寓話です。一人は父親と同じような行動を取り、似た環境を自ら作り出しています。一方でもう一人は、その経験を糧に成功して穏やかな環境を創り出しています。にも関わらず二人は全く同じフレーズの言葉を口にします。
経験談でもありますが、納得のいかない、または辛い経験をしたときに大きく2つのパターンを取る人に分かれるように思います。
・「自分はこんな目にあったんだから」と、他の人に同じような行動を取る人
・「自分はこうはなるまい」と、将来の行動や環境作りのヒントにする人
長い人生常に良いことばかり起こるのなら良いのですが、当然ながらそうでないことも多々起こります。前者のような考えの人と付き合っていると、自然とネガティブな状況が生じやすくなり、逆に後者のような人が多い環境では、前向きな機会が多く生じやすくなります。同じ考えを持った人は集まるもので、どうしても受け入れられない行動を取る人がいる場合は人が離れていくためです。
他人に考えを強要するわけにはいきませんが、納得のいかない経験をしたとしても時間は戻せないわけですから、それをどう今後に活かせるかの学びとして捉えれば、前向きな出来事や考え方を持った人を引き寄せやすくなるかもしれません。