一頭のカバが川を渡っているときに自分の片方の目をなくした。カバは必死になって目を探した。前を見たり、後ろを見たり、右側を見たり、左側を見たり、体の下を見たりしたが、目は見つからない。


川岸にいる鳥や動物たちは「少し休んだほうがいい」と助言した。しかし、永遠に目を失ってしまうのではないかと恐れたカバは、休むことなく、一心不乱に目を探し続けた。それでも、やはり目は見つからず、とうとうカバは疲れ果てて、その場に座りこんでしまった。

カバが動きまわるのをやめると、川は静寂をとり戻した。すると、カバがかき回して濁らせていた水は、泥が沈み、底まで透きとおって見えるようになった。こうして、カバはなくしてしまった自分の目を見つけることができた。

引用元:座右の寓話 戸田智弘 出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
www.amazon.co.jp/dp/47993282

休息を勧められたら素直に受け入れてみる

頑張っているのになかなか思い通りにいかない状況が続くときに参考になる寓話です。カバは周囲の助言に構わずひたすらに探し続けたものの成果は上がらず、いざ力尽きて強制的に休むことになったところで目的を達成できたというあらすじです。

焦って行動を続けないといけないような状況では、なかなか休むという選択を取りづらいものですが、体力的にせよ心理的にせよ認知的にせよ、長時間休まずに行動をし続けて右肩上がりに成果を出し続けられる人は稀です(中にはそういう人もいますが、よほど優秀な方以外はあまり参考にしない方が良いのではと思います)。

つい頑張ってしまう人は、他人に少し休んではと促された時点で、「そんな暇はない」と反発したくなるのを堪えて、言葉通りにしてみるのも1つの方法かもしれません。そもそもそんなことを周りから言われる時点で頑張りすぎな傾向がある人ともいえます。

行動の方向性を見直してみる

休息による回復とは視点を変えてもう1つ、寓話のカバは休んで回復したために成果に繋がったのではなく、一旦行動を止めたことで川が澄んだことであっさりと探し物を見つけています。

「こんなに頑張っているのになぜか成果に繋がらない」と考えがちなときは、そもそもその行動の方向性が原因で目的の達成が阻まれている、ということもあるのかもしれません。

寓話のように少し足を止めてみるのも有効でしょうし、個人的には人と会って肯定的に話を聞くことを大事にしています。ついつい自分は正しいと考えてしまいがちですが、自分が正しいならばそもそも既に成果が出ているはずですし、うまくいっている人がこだわっている方法や視点、考え方などを、無理のない範囲で自分に取り入れてみると、今までとは違った結果になるかもしれません。