この記事では、日本国内で株式会社・合同会社を設立した場合を中心に、設立後の主な届出・手続きを説明します。地方税は千葉県・市川市の手続きを例にしています。役員報酬の支払いや従業員の雇用などで必要な手続きが変わるため、提出先・期限・対象を一覧にまとめました。設立登記までの流れはこちらの記事をご覧ください。
会社設立後の主な届出一覧
設立後に必要な届出のうち、主要なものは下表の通りです。すべての会社に必要なわけではないため、必要に応じて判断することになります。役員報酬・給与の支払いや従業員の雇用の有無、税務上の選択によって必要な届出が異なります。
| 手続き | 提出先 | 主な期限 | 必要なケース |
|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 所轄税務署 | 設立日から2か月以内 | 株式会社・合同会社など |
| 法人等の設立等報告書 | 千葉県の県税事務所 | 設立日から1か月以内 | 千葉県内に事務所等を設けた法人 |
| 法人設立・事務所等開設の届出 | 市川市 | 設立・開設日から60日以内 | 市川市内に事務所等を設けた法人 |
| 青色申告の承認申請書 | 所轄税務署 | 設立から3か月経過の日と第1期末の早い日の前日まで | 第1期から青色申告を希望する法人 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 所轄税務署 | 開設日から1か月以内 | 役員報酬や従業員給与を支払う場合 |
| 事前確定届出給与に関する届出書 | 所轄税務署 | 設立の日以後2か月を経過する日まで※ | 役員賞与を事前確定届出給与として損金算入する場合 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 所轄税務署 | 随時 | 給与支給人員が常時10人未満で特例を希望する場合 |
| 棚卸資産の評価方法の届出書 | 所轄税務署 | 第1期の確定申告書提出期限まで | 法定の方法以外を選ぶ場合 |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 所轄税務署 | 第1期の確定申告書提出期限まで | 法定償却方法以外を選ぶ場合(選択可能な資産に限る) |
| 消費税課税事業者選択届出書 | 所轄税務署 | 原則、適用期間の開始前日まで。設立第1期はその期中 | 免税事業者が課税事業者を選ぶ場合 |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 所轄税務署 | 設立日から登録する特例は第1期末まで(休日延長なし) | インボイス発行事業者の登録を希望する場合 |
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所等 | 適用事業所となった日から5日以内 | 加入要件を満たす法人 |
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 年金事務所等 | 資格取得日から5日以内 | 役員・従業員が被保険者となる場合 |
| 労働保険関係成立届 | 労働基準監督署等 | 保険関係成立日の翌日から10日以内 | 従業員を雇い労働保険関係が成立した場合 |
| 労働保険概算保険料申告書 | 労働基準監督署等 | 保険関係成立日の翌日から50日以内 | 労働保険関係が成立した場合 |
| 雇用保険適用事業所設置届 | ハローワーク | 雇用保険関係成立日の翌日から10日以内 | 雇用保険の対象者を雇う場合 |
| 雇用保険被保険者資格取得届 | ハローワーク | 資格取得日の属する月の翌月10日まで | 雇用保険の被保険者を雇う場合 |
※新設法人が、設立時に開始する役員の職務について定めをした場合(国税庁)。
表は一般的なケースにおける提出期限を示しています。実際の期限は、各手続きの起算日や自治体の規定などを確認してください。市川市以外に事務所等を設ける場合は、その自治体の案内をご確認ください。
税務署・自治体への届出と役員報酬
法人設立届出書は設立後に提出します。地方税の届出も必要で、千葉県では設立から1か月以内、市川市では設立・開設から60日以内です(千葉県・市川市)。
第1期から青色申告をする場合、申請期限は「設立から3か月を経過した日」と「第1期の終了日」のいずれか早い日の前日です。最初の事業年度が短い会社は、特に早めに確認しましょう。
役員に報酬を支払う場合は、支給額と支給日を決めます。税務上、毎月の役員給与は定期同額給与などの要件があり、役員賞与を損金に算入するには事前確定届出給与の届出期限にも注意が必要です。給与支給人員が常時10人未満なら、給与・退職金や税理士等への報酬に係る源泉所得税等を年2回にまとめて納付する特例を申請でき、これを出さないと源泉税を毎月納付する必要が生じます。通常は申請月の翌月に源泉徴収する分から対象となるため、それ以前の分は通常の納付期限に注意してください(国税庁)。
消費税・インボイスと会計方法の選択
設立第1期は通常、消費税の基準期間がありません。ただし、期首の資本金・出資金が1,000万円以上の場合や、一定の大規模事業者に支配される特定新規設立法人に該当する場合などは、免税になりません。
免税事業者が課税事業者を選ぶ届出は、原則として適用したい課税期間の開始前日までですが、新設法人が第1期から選ぶ場合は第1期中に提出できます。選択後は原則として一定期間、免税事業者に戻れません。
インボイス登録はすべての会社に必須ではありません。設立日から登録する特例を利用する場合は、事業を開始した課税期間の末日(通常は第1期末)までに、その課税期間の初日から登録を受ける旨を記載した登録申請書を提出します。この期限は、末日が土日祝日でも翌営業日に延長されません(国税庁のインボイスQ&A・問11)。免税事業者が登録すると原則として消費税の申告・納税が必要になります。経過措置により、課税事業者選択届出書を別途提出せずに登録できる場合もあります。取引先の要請や事業計画を踏まえて判断しましょう。詳しくは国税庁の新設法人向け案内をご確認ください。
棚卸資産の評価方法や減価償却方法は、法定の方法と異なる方法を選ぶ場合に届出を検討します。減価償却の届出をしない場合の方法は資産の種類で異なり、建物・建物附属設備・構築物は原則として定額法です。
社会保険・労働保険は人員体制で判断
健康保険・厚生年金保険は、有報酬の代表者だけの法人でも原則として加入対象です。一方、労働保険・雇用保険の手続きは、従業員を雇ったときに必要かを判断します。雇用保険の「適用事業所設置届」と「被保険者資格取得届」は別の手続きで、後者の期限は資格取得日の属する月の翌月10日です。
その他の確認とご相談
事業に許認可が必要な場合は、営業開始前に所管官庁へ確認してください。登記事項証明書の取得や法人口座の開設も、事業開始に合わせて進めましょう。
当事務所では、設立後の税務届出、役員報酬、消費税・インボイスの取扱いについてご相談を承っています。お問い合わせの際は、会社の設立日、決算月、役員報酬・従業員給与の支払予定、現在の届出状況をお知らせください。お問い合わせはこちら。社会保険・労働保険の具体的な手続きは、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。


